2019年5月18日、小金井市萌え木ホールにて「第8回総会・第12回講演会」を開催しました。”令和”最初の総会・講演会に多数の皆様にご参加頂きありがとうございました。
第8回総会
総合司会は渋谷泰幸理事が務めました。
増村幸子代表は「親・介護者亡き後、当事者は小金井市(地域で)で自分らしく働き、安心して暮らす」を実現しようと呼びかけました。
武藤和義理事を議長に選び、議案はすべて承認されました。
運営委員会のメンバーも一新され、運営委員長に上村秀一さん、副委員長に重盛恭一さんと河村克己さんが就任しました。なお、武藤和義さんと山下晃司さんには引き続きサポートしていただきます。これからよろしくお願いします。
行政報告
小金井市社会保険部自立生活支援課長 加藤真一氏
小金井市の西岡真一郎市長からご挨拶いただいた後、加藤真一課長より障害者差別解消小金井市条例の取り組み、高次脳機能障害者支援相談窓口の設置計画を報告されました。
第12回講演会「高次脳機能障害当事者と家族」
高次脳機能障害者の理解と支援に向けて
中央大学文学部心理学教授・臨床心理士・公認心理師 緑川晶氏
高次脳機能障害は分かりにくい。当事者・家族も本当の状態の理解が難しい。個人差が大きく、周囲の人々は症状を想像できない。
- 当事者はできることが増えたが「満足できない自分に、悲しく悔しい」思いがある
当事者の内面に寄り添うことが大事です。
“主観的”な世界に理解
病気や事故に関係なく自分の本質「信念・意地・自尊感情」は変わらない。
望むこと
- 障害者になる前と変わらない態度で普通の人として接して欲しい。
- 自分を尊重し、理解し、脳力の可能性を否定しないで病前と変わらずともに活動したい。
喪失感やギャップ
発症前の能力、地位、人間関係、目標、多くの喪失感がある。
- 自分は適切に考え判断していると思っている。
- 他人は失敗があり、反応が鈍く、話し方が下手で低く見る。
介護者亡き後どうするか
就労・就学、将来への不安
日常介助、相談者(専門職)の不在
子供、兄弟への影響
リハビリテーション施設の希薄
当事者と家族は不安に陥り周囲の理解と支援を求めています。
家族支援の取り組みについて
中央大学大学院生 臨床心理学 浜本加奈子さん
いちごえ会の家族に個別に傾聴し、家族の介護負担感が減少したが、継続的傾聴が必要と感じました。
学生による高次脳機能障害理解の取り組みについて
中央大学人文社会学科心理学専攻 山下英香さん
福祉専門学校卒業後障害福祉分野の事業所に勤務。社会福祉士、精神保健福祉士。
先ず目の前の貴方と向き合い「人の暮らし方やしあわせ」を一緒に考えています。
家族からの質問
Q. 障害の受容とは?
A. 上田敏先生
その人がその人らしく生きることができた結果です。支援者(PTOTST医療者など)からの強要ではなく、その人が生きがいを持って生きられる状態、社会の役割を持てる状態を目指すことが大事で心理職やリハ職とのチームワークが必要です。
まとめ
参加者総計45名。会員以外の参加者の多くが市内・近隣の福祉専門職の方であり、栃木から「高次脳機能障害者の生活上の困難を家族が理解していく体験」を研究している学生、近くの大学から「高次脳機能障害を勉強したい」学生もありました。
いちごえ会と交流し福祉方面に卒業後の進路を選択する方もあり、若い人の障害への理解が進みつつある予感がしました。
講演会は平易な言葉で当事者にも分かりやすかったです。
増村幸子記